「人間中心BPM」と「システム統合中心BPM」の違い

『BPMシステム』(BPMS)製品群はしばしば、「人間中心BPMS」と「システム統合中心BPMS」の2つにカテゴライズされます。しかし、どちらの製品群も「業務プロセスの継続的改善を支援するツール」に変わりありません。
ここでは、それぞれの製品群はどの様な特徴を持つのか、について考察します。

  • Human-Centric BPMS
  • Integration-Centric BPMS (System-Centric BPMSとも)

workflow engine

 

 BPMS : "Business Process Management System" or "Business Process Management Suite"

 

BPMの2領域

例えば同じ『車』であっても「ワゴン」と「セダン」では、それぞれ得意とするところが異なります。同様に、同じ『BPMS』であっても「人間中心BPMS」と「システム統合中心BPMS」では、得意とする管理プロセスが異なります。

結論から言えば、「人間中心BPMS」は≪人間タスクの占める割合が多い業務プロセス≫を得意とします。

<人間タスクの例>

  • 産みだすデザイン画像を作る、企画書を作成する、など
     
  • 改良するレビューする、対案を出す、など
     
  • 判断する決裁する、承認する、など
     
  • 変換する 翻訳する、原稿レイアウトを決める、など
     

<システムタスクの例>

  • 挿入する新規取引先を登録する、見積書を記録する、受注伝票を記録する、など
     
  • 参照する商品マスターを参照する、取引先の属性をコピーする、など
     
  • 更新する在庫を引き当てる、出荷予定日を更新する、など
     
  • 削除する特定の個人情報を消去する、商品レコードを消去する、など
     

多くの製品で、業務プロセス中の「人間タスク」は、担当社員によるWebフォームへの入力をもって完了します。他方「システムタスク」は、担当システムとのデータ通信により完了します。
継続的な業務プロセスの改善を支援すべく、多くの製品が「ノンプログラミング」と言う特徴を持ちます。

今日の「Webフォーム」は、パソコンのブラウザに限らず、スマートフォンのブラウザや、スマートフォンアプリ、ガジェット(ウィジェット)など、様々な入力ツールが用意されています。

 

歴史的な背景

workflow engine architecture企業情報システムは、データベース技術(DBMS)や通信技術の革新のもと、1980年代以降急速に発展しました。そして、大企業のみならず、中小零細企業にとっても無くてはならない存在になったと言えます。メールでの情報交換やWebサイトでの情報発信は言うに及ばず、基幹業務情報管理(ERP)・供給連鎖管理(SCM)・社員情報共有(グループウェア)・顧客管理(CRM)・営業情報管理(SFA)・文書管理(ECM)など、様々な情報システムが今日の企業活動を支えています。

『クレーム対応業務』を例にとれば、1990年代にはハガキやFAXによるクレーム受信から解決まで1週間も2週間も要していた業務が、メール通信や電子マニュアルなどによって平均10時間で解決できるようになった、と言った例も珍しくないでしょう。

しかし、2010年代に入り注目される業務プロセス管理活動(BPM活動)では、この『人』と『企業情報システム』によって処理される「一連の流れ」に注目し、その手順やリソース配分の改善を図ります。すなわち、『人』と『企業情報システム』によって処理される手順やルートを可視化するとともに、その「一連の流れ」をあるべき姿へと積極的に変えよう、と考えます。

この時、場合によってBPMSは、業務に関わる『人』だけでなく『企業情報システム』とも情報交換できなければなりません。例えば、顧客クレームへの回答業務において、顧客管理システムや取引先マスターを(人を介在させず)自動参照する必要がある場合には、その処理をつかさどる『企業情報システム』と通信しなければなりません。例えば「J2EEベースの業務アプリ」による業務処理が多い企業にとっては、「J2EEベースの業務アプリ」と通信できるBPMSが必要となるでしょう。

今日の「システム統合中心BPMS」は「SOA基盤」にある業務アプリと「SOAP通信」を行える機能を装備する製品が多く、他方「人間中心BPMS」は企業情報システムとの通信機能が「システム統合中心BPMS」と比較して少ないと言えます。

※Questetra BPM Suite は、HTTP通信による(RESTfulな)リクエスト受付機能や、HTTPやメールによるデータ送出機能は提供しますが、SOAPメッセージによるアプリケーションサーバとの通信はサポートしていません。

 DBMS : "DataBase Management System"
 ERP : "Enterprise Resource Planning"
 SFA : "Sales Force Automation"
 SCM : "Supply Chain Management"
 CRM : "Customer Relationship Management"
 ECM : "Enterprise Contents Management"
 J2EE : "Java 2 Enterprise Edition"
 SOA : "Service Oriented Architecture"
 SOAP : "Simple Object Access Protocol"
 

 

人間中心BPMSの導入効果が高い企業

Fig. bpm maturity model 業務プロセス管理(BPM)の究極の姿は「業務プロセスを、常に最適な状態に保てる組織」になることです。しかし、事業環境の変化を想定するだけでも容易なことではありません。またそれぞれの事業環境での「あるべき姿」(To-Be)も、一朝一夕に導き出せるものではありません。克服できそうな課題を一つ一つ改善する活動を通じて、成熟度を上げていくしかありません。

何事にも言える事ですが「目標」を設定する事は大切です。目標を認識してこそ「達成」する事ができます。業務プロセス管理(BPM)においても同じ事が言えます。可能な限り『数値』と『期限』を設定すべきであると言えるでしょう。

<BPM活動の目標設定例>

  • 業務定義社内の3業務について、その手順をワークフロー図として図式化する
     
  • 業務定義社内のワークフロー図について、その改善すべき手順を10個以上列挙する
     
  • 反復計測顧客クレームへの回答所要時間を、平均10時間から平均5時間に短縮する
     
  • 反復計測受注処理/請求処理に費やす延べ時間を、月次500時間から月次200時間に短縮する
     
  • 全体統治受注/生産/納品/請求の領域にあるプロセス群を可能な限り自動連携させる
     
  • 全体統治クレームへの対応フローにおいて、必要に応じて他部署確認を組み込める様に改める
     
  • 変化計測電話案内要員の増員により増加する引合数を予見できるようにする
     
  • 変化計測見積承認ルートの変更、最大値引率の変更により、短縮される見積提出期間を計測する
     
  • 最適処置利益進捗と年間利益計画との差分にあわせて見積プロセスを月次変更できる様にする
     
  • 最適処置想定事故を列挙し、各事故発生時のプロセス変更シナリオを準備する
     

これからBPM活動に取り組む企業であれば、上記の「業務定義」にある様に、まずは事業収益にとって影響力の大きい業務プロセスについて適切な粒度で定型化する事が大切です。そして、「反復計測」にある様に、その一連の処理を計測する事が大切だと言えるでしょう。

その際、「反復計測すべき」と認定された業務プロセスが、人間タスクの占める割合が多い業務プロセスなら、「人間中心BPMS」の導入は十分に検討に値すると言えます。

(その他、「人間中心BPMS」の導入効果が高い企業の特性)
  • 事業規模に比して、業務プロセスの数が少ない
  • 収益に直結する業務プロセスの変化頻度が高い
  • 業務プロセス更新時にIT部門への依存度が低い(ビジネス部門主導)

 

人間中心BPMSのこれから

BPMS製品には多くのツールが装備されていますが、業務プロセス管理に「無くてはならない基本機能」に以下の3機能があります。

  • モデリングツール業務プロセスを描画定義する
     
  • ワークフロー環境流れてきた仕事について、処理結果をWebフォームに入力する
     
  • モニタリングツール仕事の進捗状況を可視化する、処理した仕事の量を可視化する
     

業務プロセスの『モデリング』を円滑に高速に行えるようにするコンセプトを持つ製品であれば、例えばプロセスモデルの編集中画面を複数の関係者と画面共有できたり、実際にタスクを引き受ける従業員にチャット調査できたり、あるいは処理中プロセスの手順すら変更できたりと、モデリングを拡張する様々な先進機能が提案されています。

また一方で、業務処理の進捗や現状を詳細に『モニタリング(監視)』できる事に重きを置く製品であれば、例えば高度な異常検知機能(BAM)を内包し生産スピードと注文スピードのバランスが崩れた際にアラームを発したり、類似メールアドレスによる高額商品の連続受注の際に確認業務プロセスを起動させたりと、モニタリングを拡張する様々な先進機能が提案されています。

Questetra BPM Suite は、よりスムーズに業務を処理できる『ワークフロー』環境を提供しようとする製品です。定式化できない業務データを『掲示板型データ』で記録したり、急遽発生する「関連調査」などの非定型な業務を『社内SNS機能』で処理したりと、ワークフロー機能を拡張する先進機能を提案しています。

(その他の関係が深い機能や特性)
  • クラウド型システム運用の手間やコストが不要になる/どこからでもアクセスする事ができる
     
  • モバイル対応簡単な処理は外出中にも行えるようになる
     
  • システム連携既存の業務システムと簡単にデータ連携できる
     
  • 開発用APIセンサー機器や複写機などを制御する様なオリジナル業務アプリも連携できる
     

* BAM : "Business Activity Monitoring"