『BPMシステム』(BPMS※)製品群はしばしば、「人間中心BPMS」と「システム統合中心BPMS」の2つにカテゴライズされます。しかし、どちらの製品群も「業務プロセスの継続的改善を支援するツール」に変わりありません。
ここでは、それぞれの製品群はどの様な特徴を持つのか、について考察します。
※ BPMS : "Business Process Management System" or "Business Process Management Suite"
例えば同じ『車』であっても「ワゴン」と「セダン」では、それぞれ得意とするところが異なります。同様に、同じ『BPMS』であっても「人間中心BPMS」と「システム統合中心BPMS」では、得意とする管理プロセスが異なります。
結論から言えば、「人間中心BPMS」は≪人間タスクの占める割合が多い業務プロセス≫を得意とします。
多くの製品で、業務プロセス中の「人間タスク」は、担当社員によるWebフォーム※への入力をもって完了します。他方「システムタスク」は、担当システムとのデータ通信により完了します。
継続的な業務プロセスの改善を支援すべく、多くの製品が「ノンプログラミング」と言う特徴を持ちます。
※今日の「Webフォーム」は、パソコンのブラウザに限らず、スマートフォンのブラウザや、スマートフォンアプリ、ガジェット(ウィジェット)など、様々な入力ツールが用意されています。
企業情報システムは、データベース技術(DBMS※)や通信技術の革新のもと、1980年代以降急速に発展しました。そして、大企業のみならず、中小零細企業にとっても無くてはならない存在になったと言えます。メールでの情報交換やWebサイトでの情報発信は言うに及ばず、基幹業務情報管理(ERP※)・供給連鎖管理(SCM※)・社員情報共有(グループウェア)・顧客管理(CRM※)・営業情報管理(SFA※)・文書管理(ECM※)など、様々な情報システムが今日の企業活動を支えています。
『クレーム対応業務』を例にとれば、1990年代にはハガキやFAXによるクレーム受信から解決まで1週間も2週間も要していた業務が、メール通信や電子マニュアルなどによって平均10時間で解決できるようになった、と言った例も珍しくないでしょう。
しかし、2010年代に入り注目される業務プロセス管理活動(BPM活動)では、この『人』と『企業情報システム』によって処理される「一連の流れ」に注目し、その手順やリソース配分の改善を図ります。すなわち、『人』と『企業情報システム』によって処理される手順やルートを可視化するとともに、その「一連の流れ」をあるべき姿へと積極的に変えよう、と考えます。
この時、場合によってBPMSは、業務に関わる『人』だけでなく『企業情報システム』とも情報交換できなければなりません。例えば、顧客クレームへの回答業務において、顧客管理システムや取引先マスターを(人を介在させず)自動参照する必要がある場合には、その処理をつかさどる『企業情報システム』と通信しなければなりません。例えば「J2EEベースの業務アプリ」による業務処理が多い企業にとっては、「J2EE※ベースの業務アプリ」と通信できるBPMSが必要となるでしょう。
今日の「システム統合中心BPMS」は「SOA※基盤」にある業務アプリと「SOAP※通信」を行える機能を装備する製品が多く、他方「人間中心BPMS」は企業情報システムとの通信機能が「システム統合中心BPMS」と比較して少ないと言えます。
※Questetra BPM Suite は、HTTP通信による(RESTfulな)リクエスト受付機能や、HTTPやメールによるデータ送出機能は提供しますが、SOAPメッセージによるアプリケーションサーバとの通信はサポートしていません。
業務プロセス管理(BPM)の究極の姿は「業務プロセスを、常に最適な状態に保てる組織」になることです。しかし、事業環境の変化を想定するだけでも容易なことではありません。またそれぞれの事業環境での「あるべき姿」(To-Be)も、一朝一夕に導き出せるものではありません。克服できそうな課題を一つ一つ改善する活動を通じて、成熟度を上げていくしかありません。
何事にも言える事ですが「目標」を設定する事は大切です。目標を認識してこそ「達成」する事ができます。業務プロセス管理(BPM)においても同じ事が言えます。可能な限り『数値』と『期限』を設定すべきであると言えるでしょう。
これからBPM活動に取り組む企業であれば、上記の「業務定義」にある様に、まずは事業収益にとって影響力の大きい業務プロセスについて適切な粒度で定型化する事が大切です。そして、「反復計測」にある様に、その一連の処理を計測する事が大切だと言えるでしょう。
その際、「反復計測すべき」と認定された業務プロセスが、人間タスクの占める割合が多い業務プロセスなら、「人間中心BPMS」の導入は十分に検討に値すると言えます。
BPMS製品には多くのツールが装備されていますが、業務プロセス管理に「無くてはならない基本機能」に以下の3機能があります。
業務プロセスの『モデリング』を円滑に高速に行えるようにするコンセプトを持つ製品であれば、例えばプロセスモデルの編集中画面を複数の関係者と画面共有できたり、実際にタスクを引き受ける従業員にチャット調査できたり、あるいは処理中プロセスの手順すら変更できたりと、モデリングを拡張する様々な先進機能が提案されています。
また一方で、業務処理の進捗や現状を詳細に『モニタリング(監視)』できる事に重きを置く製品であれば、例えば高度な異常検知機能(BAM※)を内包し生産スピードと注文スピードのバランスが崩れた際にアラームを発したり、類似メールアドレスによる高額商品の連続受注の際に確認業務プロセスを起動させたりと、モニタリングを拡張する様々な先進機能が提案されています。
Questetra BPM Suite は、よりスムーズに業務を処理できる『ワークフロー』環境を提供しようとする製品です。定式化できない業務データを『掲示板型データ』で記録したり、急遽発生する「関連調査」などの非定型な業務を『社内SNS機能』で処理したりと、ワークフロー機能を拡張する先進機能を提案しています。
* BAM : "Business Activity Monitoring"